手嶋教授のHadron05レポート

去る8月21日から26日まで、ブラジルのリオデジャネイロにて開催された、ハドロンのスペクトロスコピーに関する国際会議「Hadron05」に、理学教室の手嶋忠之教授が出席し、研究発表を行いました。この国際会議の模様を手嶋教授にレポートしていただきましたので、以下に掲載いたします。


 この国際会議「Hadron05」は,ハドロン(クォークが3つ結合したバリオンとクォークと反クォークが結合したメソンの総称)のスペクトロスコピー(クォークはu,d,s,c,b,tの6種類あることがわかっており,クォークが結合するときの角運度量等の量子数の違いにより非常に多数(数百)のハドロンが存在する)及びハドロンのダイナミクスに関連した内容について議論する国際会議で,1985年から始まったものである。2年に一度ずつ開催されており,前回はドイツのアシャフェンブルグで開催され,今回初めて南半球・ブラジルのリオデジャネイロでの開催となった。下の写真は,リオの中心地を写したもので,写真中央にある山(シュガーローフと呼ばれている)の麓近くに今回の会議場があった。

          

 今回の会議のトピクスは,クォーク4個と反クォーク1個の5つのクォークで構成されたペンタクォーク について,これは3年前に日本の研究者が発見したものであるが,その後の検証実験の結果が多く発表されたことである。また,cc スペクトルに X(3872), X(3943), Y(3943), Z(3931), Y(4260) が見つかったことも多くの実験グループから発表された。このうち,X(3872)以外は3PJ状態と考えられるが,X(3872)は崩壊幅が異常に小さいことから,どのような状態と理解することが出来るのか実験・理論の両面から多くの議論があった。さらに,低質量のスカラーメソンが4体クォークの結合状態であるとする多くの理論・実験の両面からの議論があった。我々の今回発表した論文も、これに関するものであった。写真は、今回の会議のまとめをしているT. Barnes博士である。

        

 最後に、ブラジルと日本は素粒子物理学において深いつながりがあったことについて、余り知られていない話が紹介された。今年の3月に、ブラジルの物理学者C. Lattes が亡くなり、彼の業績を称える追悼講演があったのであるが、その中で湯川秀樹博士が1935年に中間子論を発表し、その中間子を宇宙線で発見するのにC. Lattes が大きく貢献していたという話があった。今回、国際会議の会場になったCBPF(Centro Brasileiro de Pesquisas Fisicas) の壁には湯川秀樹博士がここを訪問したときの写真がかかっていた。