理学教室ホームページ開設のご挨拶

理学教室主任
堀川 直顕

理学教室ホームページの開設を心からお慶び致します。
これを実現してくださった渕野・工藤両先生に感謝致します。

 本年度、理学教室は若い新人、工藤 健、小林礼人の両先生を迎え、また、応用生物学科から宮島佐介先生を迎え、教育・研究の一層の充実を可能とする体制ができてきていると思っています。一方、理学教室は、工学部への多様な学生層の入学、中部大学の新創設学部を含む全学の教養科目への責任といった、新しい局面に対応する必要に迫られている事情もあります。今後、理学教室には長期的展望にたった工学部の基礎教育のありかた、全学の教養教育のあり方、さらには、教室メンバーの持つ研究面での専門性を生かした教育・研究のあり方を創造して行くことが求められることになると思われます。

 これまで理学教室が担ってきた主な任務は、工学部の基礎教育であり、全学の共通科目としての理科教育でした。基礎教育の果たす役割は一見派手なものではありません。しかし、これなくしてはいくら良い専門教育を施そうとしても、学生がそれを吸収・消化して次の一段高いステップにあがることは不可能です。これは、囲碁や将棋において退屈な定石を反復学習しておかないかぎり、高いレベルでの応用を必要とする戦いに勝つことができないことと相通じるところがあります。
 時代の早い流れの中で、仕事内容をかえて行かねばならない局面に遭遇することも容易に想像出来ます。どんな分野に行っても、基礎さえしっかり出来ていれば 、対応も容易となるでしょう。理学教室が担っている基礎教育の重要性は正にこのような点にあると思われます。
 理学の「基礎を大切にする」という精神は、研究面においても特徴があります。即効性はなくても、時間をへだてて役に立つ多くの例に見られるものです。1920年代後半に確立した「量子論」は、数十年を経て原子力エネルギーの利用を可能とさせ、 ダイオードの基本性質を量子論の立場で明らかにした江崎博士の研究は、今日の生活になくてはならない各種IT機器の基礎となる半導体時代の先駆けとなるものでした。液体ヘリウム温度(1気圧の下で4.2ケルビン)での超伝導の発見は、大型加速器や核融合装置を超伝導磁石によって実現させたり、診断の最新鋭機MRI(核磁気共鳴映像法)を実現させました。今後リニアー・モータ・カーの実現や電力ロスのない送電システムの実用化等、実生活の面での応用もおおいに期待されています。

 中部大学の学生の中にも、自然科学(理学)に興味を持ち、長い視点に立った教育・研究の指導を受け、その経験を将来の仕事に生かしたいと思っている学生は少なからず存在しています。このような学生に、研究を通して理学的な研究の面白さを伝え、学生独自の発想を大切にする教育を行うことも、また、理学教室のメンバーの大切な役割と思われます。理学教室が、将来の中部大学になくてはならない教育と研究の拠点となるよう力を合わせて盛り上げて行きたいものです。

 たまたま、理学教室の改編を余儀なくされる時期に主任をまかされたことには、率直に言って、「荷が重すぎる」と思っています。しかしながら、2年前に中部大学の一員として加えて頂き、理学教室に暖かく迎えて頂いたことを考えると、このような仕事を誠心誠意行うことで、少しでも恩返しができれば、と思っているところでもあります。理学教室の全てのメンバーの方々と力を合わせ、時代にあった教育のあり方など提起・実践し、中部大学の「教育の基礎」を支え、社会から「さすが中部大学の学生」と言われるような学生を育ててゆきたいと思っています。また、研究面においても、理学教室のメンバーが理学的発想で取り組んできた長期的展望に立った課題を通して、「科学的にものを考え、問題を解いてゆく研究・手法の面白さ」を学生に伝え、中部大学が総合大学として多様な学生の希望に応えられ、特色ある研究拠点となる役割を果たせるようにしてゆきたいと思っているところです。

 このホームページの開設が、理学教室の各種活動を内外に発信する基地となると同時に、教室メンバー各位の情報発信・受信の広場として、有効に機能することを願っております。